
会社員として働く著者が、ふとした出会いから昆虫の世界に魅せられていく過程を綴ったエッセイ。学術的な距離からではなく、虫を「ときめき」の対象として愛でる眼差しが貫かれている。表紙は淡い背景に大きく配された蛾の写真を中心に据え、手書き風の細い文字で「変態だ」「かわええ……」「会社に行っている場合じゃないのに……」といった独白がギザギザの吹き出しで散りばめられる。タイトルの「昆虫学」の文字も自由な手描き。標本的な厳めしさを脱ぎ、観察者の興奮を可視化した装丁が、内容の柔らかな熱量をそのまま予告している。
著戸部田誠
装丁水戸部功
装画小田扉
イースト・プレス / 2014年
エンターテイメント