人生を豊かにするクレジットカードとの向き合い方

クレジットカードが不要になる時代が到来するのか

昨今、決済手段がスマートフォンなどデバイスに集約され、財布を持つ人が急減している。そしてクレジットカードの出番も減ってきた。まあ当たり前だろう。明らかにデバイスを用いた決済のほうが簡単だし、コロナ禍のタイミングもあり、非接触の決済はさらに浸透度を増した。

そして、行政の思惑も強い。現金の製造コストで650億円、現金の決済インフラを維持するのに年間1兆円のコストが必要だという。さらに、ATMの保守管理費や現金決済にかかる人件費などを換算するとなんと年間8兆円の損失があるとも言われている。こんなことを聞くと今すぐ現金決済など辞めてしまえと思う部分もあるが、何せ7世紀後半から続く日本の通貨の歴史と習慣はそう簡単にやめれるものでもないのだろう。とはいえ多少の時間はかかるが今後決済手段の多様化はもちろん、仮想通貨の決済実用化の浸透、CBDCいわゆるデジタル円の登場もいずれは訪れる。そうなればさらに現金の出番は少なくなってくるだろう。

ただこのような内容は金融系のメディアにお任せして、今回は独自の視点で人生を豊かにするクレジットカードとの向き合い方について考察していきたいと思う。


クレジットカードがステータスだった時代の終焉

クレジットカードがステータスだった時代はもうすでに終わったのではないかと思う。なぜならシンプルに財布から出すことが無い。決済手段の多様化によりクレジットカードの現物を財布から取り出すことがほとんどなくなった。もちろんまだまだ現物を出す機会はあるのだと思うが、券面を見せてステータスとする考えそのものがバカバカしい考えではある。

私は20年以上JCBカードを愛用しており、いたずらに枚数を増やすことなく1枚のカードで極力決済をこなしてきた。そのおかげもあってか、数年前にJCBの最上位カードであるJCB THE CLASSのインビテーションを受けた。私は洋服においては確かにたくさんの買い物をクレジットカードを使い購入してきたわけだが、ブラックカードの類を持つような豪勢な暮らしをしてきた覚えはない。とはいえせっかくのインビテーションだ。興味本位で申し込みをし、全く身の丈に合わないであろうブラックカードを入手した。

今やクレジットカードは激戦続きの末、会費で稼ぐために各社上位カードの連発だ。JCB THE CLASSに関しても同様だろう。会員数に関しても以前より増加しているはずで、全体的に上位カードの価値は薄まってきている。

最も高ステータスのクレジットカードはAMEXのセンチュリオンカードが不動の位置をキープし、マスターカードの最上位であるラグジュアリーカードシリーズが追い上げる。昨今、メタルカードと呼ばれる金属製のクレジットカードがステータスとして求められることが増加し、センチュリオンカードの専売特許だったメタルカードも、ラグジュアリーカードが追随、AMEXのプラチナもメタル化を果たした。JCB THE CLASSに関してもメタル化の噂は絶えない状況で、顧客のニーズの高さがうかがえる。

とはいえ、カードが金属になったからと言って、何が良いのか。聞く限りの情報だが、端末によっては使えない場合もあるらしく、丈夫なくらいであとは夜のお店でカッコつけてカードを出し、女性たちにアピールするのが関の山だろう。そして、大半の人々はそれを見ていいカモだと思われるか、寒々しく思うだけなんだろうと思う。

クレジットヒストリーの積み上げは大切な社会勉強

私は若い頃けして経済的に余裕があったわけではなく、高校を卒業して即、クレジットカードは必要に駆られて作った。単純に支払いに対して必要だったからという非常にシンプルな理由でカードを作ったため、ポイントだとか、優待だとかは一切考えていなかった。単純にJCBが日本の企業であることが何かカッコよいような気がしたことと、提携カードが何かダサいように見えたこと、そして提携カードの印象は何かに囲われて自由が無いような気がしたことだ。この考え方は私にとってはだが、今も間違っていなかったように思っている。

クレジットヒストリーを築いていくことは文字通り信用を重ねていくこと。そしてカード選びはその信用を重ねていく相手を選ぶことだ。私は若い時分にそんなことは考えてもいなかったが、余分なカードを持ちたくなかったのでこの1枚をずっと使っていこうという気持ちは強かった。

JCBは日本が誇るクレジットカードの国際ブランドだ。VISA、master、AMEX、Diners、そしてJCB。この5社が世界の5大クレジットカード国際ブランドと言われる。銀聯がその一角に入りつつあるが中国中心の展開となっている。JCB以外は欧米勢の企業ばかりの為、かのロシア大統領のプーチンもJCBを絶賛した逸話が有名だ。有事の際にクレジット回線を止められてしまう事は社会的に大きなインパクトがある為、自国でクレジットブランドを持つ事の重要性を説いたのだろう。日本の国際的な立ち位置は年々下がる一方だが、こういった側面を時系列で見返してみると日本の過去の栄光が非常によくわかる。クレジットカードは完全な手数料ビジネスだ。決済をするたびに手数料がどの企業、国に流れていくのかを考えると、自国発行のクレジットカードを選んでよかったのではないかと思う。

そして提携カードは何かダサくて自由が失われる気がする、というのも、もちろん提携カードを作るのもどこで使うのかも自由だ。だが、提携している企業や施設はポイント変倍やお得なキャンペーンでどんどんと攻めてくる。いつの間にやらそのお得さにやられて選択肢が狭まってしまうように思うのだ。もちろん、自由裁量は変わらないのだが、クレジットカードや○○PAYなどは原則企業の取り込み施策なので、いつの間にやら視野を狭くさせれる要素はあるだろう。その点、提携のないオリジナルカードはキャンペーンが選べたり自由裁量が高く、妙なフィルターバブルはかからない。もちろん決まった店や企業を利用する事を否定はしないが、自由に干渉の少ないライフスタイルを選択するのであれば提携カードではなくオリジナルカードがオススメだ。

クレジットカードをそのように生涯の伴侶かのように選択し、信頼をして使い続ける。そうすることによって健全なクレジットヒストリーがいつの間にやら築かれていく。そのような形が一番良いのではないかと思っている。

優待を使い切ることに消耗してはいないか

クレジットカードには様々な優待や特典が付いている。カードのグレードが上がればさらにその優待得点もグレードアップする。私が所有するJCB THE CLASSに関しても同様なのだが、正直使い切れるものではない。ただ、人生を豊かにしてくれたり、助けてくれる優待は必ずある。私の場合はJCBが展開する、ドクターダイレクト24というサービスだ。

文字通り、医師、看護師などの医療関係者に年中無休で24時間フリーダイヤルで問い合わせのできるサービスで、非常に心強いサービスとなっている。出来る限り自己完結したいタイプなので、何か問題が起きた場合は自身で調べ、解決することを努めるタイプなのだが、やはり医療関係はそのようにはいかない部分も多々ある。特に自分の問題ではなく家族の場合だ。

子育てにおいて、子供の不調は何より心配なもの。幼少期は体調も崩しやすく病院に行く頻度も高い。週末に体調が悪化し、原因不明の嘔吐を繰り返すことがあった。救急に連れていくこともなかなかすぐには判断できないこともある。そんな時にアドバイスを具体的にくれて救急病院へのアテンドもしてくれることは非常に心強かった。

そして、一番助かったのは介護だ。私は母が若年性認知症を患い、対応に困ったり混乱することもしばしばあった。特に認知症と判明する直前はなぜこんなことがと疑問に思う事も多かったのだが、このドクターダイレクト24の担当の方が直接、母と話して認知症の診断を勧めてくれたことも非常に助かった覚えがある。

こういった優待は非常に心強い。ポイントの変倍や何かの限定販売のような商業的なものではなく、人生を豊かに、助けてくれるサービスを見極めて、けして優待を使い切ってやろうというような気持ちで臨むのではなく、本当に必要なものを必要なときに提供してくれるクレジットカードを選びたいものだ。