
幕末から明治にかけて、長岡藩の財政再建と藩政改革に挑み、北越戦争に散った河井継之助。武士の時代の終わりを見据えながら近代化へと奔走したその生涯を、もう一つの「幕末の風雲児」像として描き直す評伝である。カバーは深い鶯色の地に、髷を結い口を一文字に結んだ人物の線描肖像を大きく据える。墨の細い輪郭と陰影を抑えた面のみで構成された顔は、写実というより一枚の版画のような静けさをまとう。題字は縦組みの明朝で人物の輪郭に寄り添い、肖像と書体の重なりが、時代の境目に立った一人の像をそっと立ち上げている。

著小林泰三
装丁albireo
装画よー清水
日本経済新聞出版社 / 2015年
文学・評論