
夜の土から何かを呼び戻すような表題が、静かな寓話の気配を漂わせる一冊。背景はマットな深い藍黒で、紙の繊維がかすかに残る落ち着いた質感。中央には小さな少女と、毛足の長い淡褐色の生き物、藍色の猫らしき影が横一列に並び、手描きの輪郭と滲みを生かしたやわらかな筆致で描かれる。白い明朝の題字と、その下に細く添えられたローマ字のサブタイトルが、三者の沈黙にひかえめな声を与える。暗がりに立つ小さな仲間たちが、「掘り起こせ」という命令形を静かに引き受けているように見える。

著小嶋陽太郎
装丁オフィスキントン
装画かわつゆうき
ポプラ社 / 2017年
文学・評論