
質屋に持ち込まれる「ワケアリ」の品々と、その背後に潜む人間模様を描いたライト文芸シリーズの上巻。表紙には銀髪の青年が薄暗い店内を背景に振り返るように佇み、深紅のドレープと藍を帯びた闇が画面を縦に分かつ。タイトルは縦組みの太い明朝で右側にすらりと連なり、屋号の「質」だけを朱の円で囲って判子のように据えることで、物語の核となる店の存在を一筆で印象づけている。妖しさと品格を併せ持つ色面構成が、品物に宿る来歴を覗き込むような読書体験を予告する。
著相戸結衣
装丁釜ケ谷瑞希+ベイブリッジ+スタジオ
マイナビ出版 / 2016年
文学・評論