
下町の古書店を舞台に、店主と家政婦の距離が静かに縮まっていく恋愛譚。男やもめで引きこもりがちな店主のもとへ家政婦兼育子として現れた女性が、店の空気を変えていく。表紙は天井まで本が積まれた古書店の通路を奥行きのある一点透視で描き、奥には和装で本を読む男性、手前にエプロン姿で振り返る女性を配する。色調はセピアと飴色を基調に、人物の白い襟と肌が淡く浮かぶ。帯は白地に明朝体の太い惹句と朱色のアクセントが効き、昭和レトロという惹句がそのまま絵の温度に重なる。書架の奥行きが、二人の距離が縮む物語の余白として静かに開かれている。
著南潔
装丁堀中亜理+ベイブリッジ+スタジオ
マイナビ出版 / 2016年
文学・評論