
八丈島を舞台に、猫とともに過ごす夏の休暇を描いた長編小説。古い縁側に座る女性、低い座卓に並んだ寿司と麦茶のグラス、こちらを見上げる黒猫——縁側越しに広がる青空と緑が、室内の木の床や畳の落ち着いた色味と響き合う。タイトルは縦組みで縁側の柱に沿うように白い短冊状の面に置かれ、足元には小さな猫のシルエットとローマ字表記が添えられる。具体的な情景を一枚に閉じ込めた装画と、控えめな書き文字の配置が、本作の穏やかな時間の流れをそのまま手に取らせる。

著森村誠一
装丁坂詰佳苗
装画ケッソクヒデキ
KADOKAWA / 2016年
文学・評論