
シリーズ刑事・棟居を主人公にした森村誠一の短編集。事件と対峙する刑事の眼差しを通して、人の業や時代の翳りを浮かび上がらせる。表紙は夜の路上に背を向けて佇むスーツ姿の男を中央に据え、その視線の先に灯る日本家屋の縁側と、もう一人座る男の小さなシルエットを配したイラスト。藍と灰を基調にした沈んだ色面のなか、屋内のオレンジの光だけがにじむように暖かい。白抜きの明朝タイトルが夜闇に切り込み、対峙の緊張と人間への執着を静かに告げる装丁となっている。

著武内涼
装丁坂詰佳苗
装画遠藤拓人
KADOKAWA / 2018年
文学・評論