
男子が初めて精通を迎えた瞬間の記憶を、当事者たちの証言として集めたエンターテイメント本。誰もが通る、けれど誰も語ってこなかった青春の一場面を、ユーモアと哀しみを交えてすくい上げる。淡いピンクの地に、髪色とりどりの少年たちが思い思いのポーズで配置され、太く愛嬌のある明朝で組まれたタイトルが画面中央を堂々と占める。漫画的な線と柔らかな配色が、際どい主題を恥じらいや滑稽さごと肯定し、読み手の肩の力を抜かせる。帯の鮮やかなマゼンタがその軽やかさをそっと締める。

著尾崎将也
装丁野条友史
河出書房新社 / 2024年
文学・評論