
日々の暮らしのなかで出会った山や旅、そばと食、そして傍らにいる小さな生きものたちをめぐる随筆集。著者の視線は対象との適度な距離を保ちながら、ふとした瞬間の可笑しみや静けさをすくい取っていく。表紙は白い余白を大きくとり、丸まって眠る犬、口を開けた細い蛇、淡い緑で重ねた山並みを水彩でぽつりぽつりと配置する。手書きの題字は青、著者名は橙で、にじみを残した筆致が絵と同じ呼吸で並ぶ。軽やかな線と余白そのものが、肩肘張らずに山と生きものを眺める文章の温度をそのまま伝えている。

著内田樹、高橋源一郎
装丁中川真吾
装画ほしよりこ
文藝春秋 / 2015年
文学・評論