
新聞社の特派員として世界各地を歩いた記者が、1992年から2014年までの二十余年にわたって書き留めた現場の記録。紛争や貧困、街角の小さな出来事に向き合った視線が、断章として綴られる。表紙はモノクロームの報道写真を三段に積み重ね、群衆の顔、欄干に腰掛ける男、夕暮れの石畳を歩く人影を縦に連ね、その上に縦組みの明朝でタイトルを白抜きに置く。文字と写真の重なりが、遠く離れた土地の出来事が同じ平面に並ぶ「フラットさ」と、それでも消えない哀しみを静かに示している。

著WolfeGene、酒井昭伸
装丁渡邊民人+TYPEFACE
装画青井秋
早川書房 / 2017年
文学・評論