
SF作家でもある主人公が、タイムマシン修理屋として時間の迷子になった人々を救いながら、行方不明の父を探す——アジア系アメリカ人作家による、私小説とSFが入り組む長篇。透明な箱の中に座って何かを書きつける青年、その傍らに寄り添う犬、頭上に揺れる旗と振り子。水彩で描かれた線の繊細さが、装置めいた図像にどこか手づくりめいた体温を残す。タイトル文字は大胆に縦組みされ余白へ散らされ、下辺の赤いレーベル帯がSFという枠組みを静かに告げる。宇宙の只中で「安全」を測ろうとする物語に、ふさわしく寄る辺ない一冊。

著WolfeGene、酒井昭伸
装丁渡邊民人+TYPEFACE
装画青井秋
早川書房 / 2017年
文学・評論