
休みをわざわざ充てて出かけたくなる、東京の問屋街をめぐる実用エッセイ。業務用の大鍋やスパイス缶、業者向けの建物に分け入る買い物の楽しさを、街歩きの目線で案内する一冊。クラフト紙のような素地に黒の明朝でタイトルを据え、中央には問屋ビルとコック帽の店主、鍋、瓶詰め、台車を押す客などを手描きの線とくすんだ水彩で散らしている。下部には黄色い帯が太いゴシックの惹句で差し込まれ、淡い紙地と明るく弾む。素朴な絵日記めいた筆致が、業務用の街を生活者の散歩道へと引き寄せている。
著西部謙司
装丁albireo
装画竹田嘉文
カンゼン / 2015年