
人ならぬ「八咫烏」たちが暮らす世界を舞台にした和風ファンタジー。次の世継ぎの后選びをめぐり、四家から集められた姫君たちの思惑が交錯する宮廷物語の第一作にあたる。表紙は四分割の構図に四人の姫を配し、桜・蓮・水仙・紅葉と思しき季節の花々を背景に置いて、それぞれの個性を色彩で描き分ける。淡い水彩のにじみと細い線描がやわらかな空気をまとい、タイトル文字は朱色の縦組みで中央を貫いて、繊細な絵と凛とした書のあいだに緊張をつくる。四色の花が一冊の中で響き合うように、四人の姫の声が重なり合う物語の予感を、表紙そのものが静かに告げている。
著桜庭一樹
装丁関口信介
装画マツオヒロミ
文藝春秋 / 2017年
文学・評論