
サウナを愛好する著者が「ととのう」その先の境地を綴る一冊。プラスチック椅子に腰掛けた人物が、足元から線を引いて雲の上へ浮かび上がる線画が表紙を占める。背後には黄色い光が差し、周囲には小さなきらめきが散る。脱力した姿勢、頭にのせたタオル、眼鏡の細部が、サウナ後の意識のゆるみを淡々と伝えてくる。黒い細線と淡い黄色だけで構成され、余白の白がそのまま清涼感に変わっていく。内側で立ち上がる軽さを、装丁がそっと先取りしている。
著森永博志
装丁鈴木成一デザイン室
パルコエンタテインメント事業部 / 2015年
文学・評論