
原作・脚本を手がけた書き手たち自身による、映画の物語を活字で辿り直すノベライズ。出会い、暮らし、やがてすれ違っていく若い二人の恋が綴られる。深い朱の地に、横断歩道で抱き合う男女と押ボタン式信号機が黒一色の線画で置かれる。赤信号で立ち止まった一瞬の抱擁という構図は、進むことも引き返すこともできない関係の像そのもの。タイトル文字も装飾を抑え、画面全体が「止まっている時間」の温度を帯びる。鮮烈な赤は情熱というより、別れを予感させる信号の赤として響く。
著えちがわのりゆき
装丁中島美佳
リトルモア / 2013年
絵本・児童書