
19世紀末ロンドンを舞台に、爆弾テロリストたちの暗躍を描いた連作奇譚集。「新アラビア夜話」の続編として、怪奇と冒険が交差する物語が並ぶ。表紙は青一色の細密な線画で、煙と炎に包まれた館、星や月、剣を手にした人影が画面いっぱいに描かれ、銅版画めいた質感が物語の古色を引き寄せる。タイトルは黒の明朝で大きく組まれ、朱色の帯が紙面下部を断ち切ることで、静謐な青と緊張をはらむ赤が対比される。怪奇譚の闇と火薬の閃光が、装丁の色と線そのものに織り込まれている。
著乗代雄介
装丁川名潤
装画ポテチ光秀
国書刊行会 / 2020年
文学・評論