
20世紀初頭のアメリカで書かれた幻想文学の古典〈マニュエル伝〉の一篇。質屋の主人ジャーゲンが妻を追って異界を彷徨い、神話的存在と出会いながら自らの来し方を見つめ直していく寓話的な物語である。深い青緑を地に、左右対称の構図で龍やドラゴン、甲虫、鶏、巻物、燭台、巻きひげの植物が緻密な線画で組み上げられ、中央には〈JURGEN〉と記された布が掲げられる。図像学の標本箱のような細密な紋章性が、寓話と挿話の入れ子になった本書の構造そのものを表紙の上に立ち上げている。

著RossAdam、谷垣暁美
装丁榛名事務所
国書刊行会 / 2013年
文学・評論