
放蕩、殺人、略奪——あらゆる悪事を重ねながらなお欲望に突き進む「生来の極悪人」ルイス・コストヴェインの行く末を描く、ロジャーズ流の異色ノワール。黒地の上段に、無数のサイコロを荒いタッチで描いた絵画が帯のように横たわり、一の目だけが朱で点され騒めく。下半分は深い黒に金色の明朝で大きく書名を据え、白文字の縦書きが余白を裂くように走る。賽の偶然と運命に翻弄される人物像を、漆黒と金、そして一点の赤が静かに予感させる。

著Matt Parker
装画ワタナベケンイチ
山と溪谷社 / 2022年
文学・評論