
深い海の底で、潜水服を着た一匹のネズミがランプを掲げ、横たわる古びた電球と向き合う。先代の冒険者が遺した忘れもののような光をめぐって、海の闇を旅していく児童文学である。表紙は青緑に沈んだ海中を緻密な絵画で描き、両側に魚の群れがアーチ状に湾曲してトンネルを成す。中央奥にはサメの影、その下に小さな探照灯。タイトルは白の和文書体で潜水ヘルメットの真上に静かに据えられ、画面全体にうっすらと用紙の経年のような質感がのる。広大な暗がりに灯る一点の光が、好奇心という主題そのものを表している。
著鈴木のりたけ
装丁伊藤紗欧里
ブロンズ新社 / 2015年