
戦国大名・宇喜多直家とその一族をめぐる連作歴史小説。謀略と裏切りが渦巻く乱世のなかで、政略の駒として嫁がされていく女たちの視点から、一族の興亡が描かれる。漆黒の地に浮かぶのは、扇形に切り取られた灰青の闇と、その内に蠢く髑髏と異形の生き物たち。緻密な細密画の幻想性が、扇面という古典的な様式に収められることで、雅と凄惨が同居する不穏な気配を放つ。題字は淡い肌色で控えめに、しかし確かな存在感を伴って配される。語られる血の系譜の華やかさと残酷さを、一枚の闇が静かに引き受けている。
著桜庭一樹
装丁関口信介
装画マツオヒロミ
文藝春秋 / 2017年
文学・評論