
ベビーシッターとして郊外の家で働き始めた女性が、預かった少年の描く奇妙な絵から事件の影に近づいていくミステリ。原題「HIDDEN PICTURES」の通り、絵の中に隠された記憶を辿る物語である。深い藍の森を背景に、シルエットの人影と手元に滲む赤い染みが浮かび上がる。英題はピンク、邦題は白、著者名はくすんだ青と色を分け、ざらついた網点のテクスチャが古い印刷物のような不穏さを漂わせる。静かな画面に一点だけ置かれた赤が、隠された絵の核心を指し示している。

著HamiltonSteve、越前敏弥
早川書房 / 2012年
文学・評論