
祇園を舞台にした「拝み屋」一家を描く人気シリーズの第八巻。祭りの夜に交差する若者たちの秘めごとを軸に、京の季節と日常の機微が綴られる連作だ。カバーは透明感のある水彩で、碁石を前に思案する銀髪の少年と、椅子に腰かけ口元を覆う制服姿の少女を向かい合わせに配置。背景には朱の組子細工と流水紋、淡い緑の襖がほのかに溶け合い、和の意匠が画面の余白に呼吸している。手描きの線と滲みが、祭りの宵に揺れる青春のためらいをそのまま掬い取っている。

著長野まゆみ
装丁坂詰佳苗
装画シマザキマリ
KADOKAWA / 2021年
文学・評論