
身近な草花のふるまいから人の生き方を読み解いた、植物学者によるエッセイ。表紙は生成りがかった紙地に、深紅の薔薇、黄色いたんぽぽ、白い小花、シダ状の若葉を細密な水彩で配し、縦組みの明朝タイトルを花々のあいだへ織り込むように据える。英文の副題は控えめに添えられ、古い博物図譜のような静けさが保たれる。華やかな大輪と路傍の名もなき草が同じ画面に並ぶ構成は、強さも弱さもひとしく肯定する本の眼差しを、そのまま紙の上に写しているように見える。

著樋口毅宏
装丁鈴木成一デザイン室
装画岡崎京子
マガジンハウス / 2015年
文学・評論