
言葉のない移民の物語を、セピアの絵だけで紡いだ大型絵本。帽子と背広姿の男が大きな鞄を提げ、見知らぬ生き物と向き合う一場面が、古いアルバムの一葉のように中央に嵌め込まれている。表紙は擦れた革装の古書を模した意匠で、金の細い罫と装飾、経年で剥がれた縁、背の革のひび割れまで丹念に刷り込まれ、本そのものが旅の記憶を綴じた手帳のように佇む。物語と装丁が同じ褪色の時間を共有し、頁を開く前から異国の長い旅路が始まっている。
著TanShaun、岸本佐知子
装丁永松大剛
河出書房新社 / 2012年
絵本・児童書