
戦火を逃れた幼い兄弟が、夜の動物園で囚われの獣たちと出会う一夜を描いた児童文学。寓話と現実が交錯する物語が、静かな筆致で綴られる。表紙は古びた壁を思わせるくすんだ灰褐色を地に、淡彩で滲ませた少年たちと腕に抱かれた小さな生きものを中央に据える。背後には金の細線で描かれた門と装飾枠が浮かび、タイトルは縦組みで金箔の額に収まる。剥落した質感と擦れた書き込み風の紙片が、夜と記憶の手触りを呼び込む。沈黙のなかで誰かを抱えて立つ、その重さがそのまま表紙に置かれている。
著TanShaun、岸本佐知子
装丁永松大剛
河出書房新社 / 2012年
絵本・児童書