
明治期の博物館を舞台に、怪異の研究へと巻き込まれていく少女を描く児童文学シリーズの第一作。深い緑の地に白抜きの明朝で「博物館の少女」と縦組みされ、副題「怪異研究事始め」は朱の枠で囲まれて引き締まる。中央には赤煉瓦の擬洋風建築を背景に、絞りの着物をまとった少女と山高帽の紳士、和装の人物が佇むイラストが嵌め込まれ、文明開化の空気をそのまま画面に閉じ込めたよう。腰巻には金線で描かれた天秤や瑞獣、ザクロの紋様が並び、和と洋、史実と怪異が拮抗するこの物語の入口にふさわしい意匠となっている。
装丁川名潤
偕成社 / 2021年