
夫婦と5歳の息子が暮らす築50年の大型マンションを舞台に、ささやかな事件と日常を綴った長編小説。表紙は、淡いピンクの空を背景にした水色の集合住宅をフラットなイラストレーションで描き、各階のベランダには洗濯物や植木鉢、室外機、そしてキャラクターのような小さな住人たちが並ぶ。輪郭線で構成された軽やかな描線と、ピンク・水色・黄色の柔らかな配色が、生活の気配を親密な距離で立ち上げる。黄色い帯の鮮やかさが、平凡な日々への愛おしさをそっと支えている。

著吉川永青
装丁國枝達也
装画浅野隆広
講談社 / 2021年
文学・評論