
オランダの作家による寓話的な短篇集。哲学と詩情をたたえた動物たちの物語のひとつとして、思索するキリギリスの日常が静かに綴られる。表紙は、ざらつきのある生成りの紙地に、丸眼鏡をかけ深緑のジャケットを羽織ったキリギリスを中央に据えた素朴なイラストレーション。傍らには白い花瓶に挿したオレンジの花、簡素な木の椅子、引き出し付きの台に乗ったランプが配され、彼の小さな書斎を思わせる。タイトルは控えめな明朝で上部に置かれ、原題はくすんだ青のセリフ体で添えられる。限られた色数と平面的な構図が、登場人物の内省的な時間にそっと寄り添っている。

著堀川アサコ
装丁鈴木久美
装画アラキマリ
新潮社 / 2017年
文学・評論