
太陽の昇らない極夜の世界へ向かうため、北極圏で犬を育て、天測を学び、海象に襲われながら過ごした350日の記録。来たる本番の探検の、その前夜の時間に焦点を当てたノンフィクションである。表紙は薄明の空の下、雪と岩肌が広がる静かな風景写真がそのまま画面いっぱいに置かれ、薄紅と藍がにじむ低い空に向かって白い犬が一頭たたずんでいる。タイトルは明朝の細い縦組みで余白の空に控えめに置かれ、極地の張りつめた光と、これから始まる旅路の予兆を静かに重ねている。
著角幡唯介
装丁岩渕恵子
文藝春秋 / 2018年
ノンフィクション