文学・評論
冤罪捜査官 新米刑事・青田菜緒の憂鬱な捜査
椎名雅史
冤罪を疑い、たった一人で再捜査に挑む新米刑事・青田菜緒の姿を追うミステリ。事件の真相と職務のあいだで揺れる若い捜査官の憂鬱が、軽快なテンポで描かれる。表紙はマンガ調のイラストレーションで、白シャツに黄色いバッグを抱えた主人公が、ビル群と電車内が砕け散る青い世界の中央に立つ。「冤罪捜査官」の太い明朝に「罪」の一字だけ黄色く反転させ、足元の電車のつり革や靴の色と呼応させる配色設計が冴える。崩れる日常と一点の黄=手がかりを示すかのような、視覚的に強い文庫カバーである。