
モノクロームの細密な線描で、目を閉じた少女が長い髪を波のように広げる横長の画面。流れる髪のあいだに小熊や小動物、果実、人形のような気配が忍びこみ、夢と物語の境界がやわらかく溶けあう世界を描き出す。画面の一部にだけ淡い朱や桃色のバラ、黄色の果実が彩られ、灰色の階調にほのかな体温を通わせる。タイトルは細い明朝で控えめに置かれ、絵自体の濃密さを引き立てる。眠りのなかで空想がほろほろと弾けていくような手触りが、紙の余白までふくめて広がっていく一冊。
装丁鈴木成一デザイン室
光嶋裕介 / 2013年
アート・建築・デザイン