
一八五〇年から二〇〇〇年へ、近代日本の風景と記憶をたどる随筆集。地方都市や郊外の街並み、そこに残る微かな痕跡から、遠いようで地続きの近代を読み解いていく。生成り色の地に、走り書きのメモや簡略な人物・動物のスケッチが薄く散らされ、フィールドノートをそのまま開いたような佇まい。中央に貼り込まれたモノクロの坂道写真は、どこにでもありそうで一度きりの場所の記録として静かに据えられている。手書きと活字、写真と余白のあいだに、調査者の眼差しと時間の堆積がそのまま装丁となって現れている。
装丁杉山健太郎
装画寄藤文平
寄藤文平 / 2015年