
同居する女と男、もう一人の女。京町家を舞台に、"食の趣味"だけが合う三人の揺らぎを描いた長編。「おいしいね」を分け合えることが、恋でも友情でもない関係をひそやかに照らす。深い緑の地に、苺パフェ・炊きたての白米の土鍋・あんかけの椀という三つの食卓の点景が、互いに距離を取って配置される。手描きの淡い水彩タッチは温度や湯気まで感じさせ、白い明朝の細い書名が空白を呼吸させる。三つの器が一つの皿に揃わないまま並ぶ構図そのものが、題のかたちを静かに引き受けている。
著MARUU
装丁祖父江慎+小川あずさ
祥伝社 / 2016年
コミック・ラノベ・BL