
転職エージェントで働く四十歳の女性を主人公に、相談に訪れる人々と向き合うなかで自身の人生も見つめ直していく長編小説。木製の棚に並ぶ小さな額のように、上下二段の枠の中へ一人ずつ収められた水彩の人物像が表紙を覆う。男女・年齢・服装の異なる十人がそれぞれ別方向を見やる構図は、誰もが固有の事情を抱えていることを静かに示す。中央の縦書きタイトルは白い短冊にのせられ、鮮やかなピンクの帯が下段を引き締める。働く一人ひとりの姿が、そのまま装丁の主役になっている。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論