
無実の罪で裁かれることになった「君」をめぐる、人間の弱さと赦しを問う長編ミステリ。表紙には水彩で描かれた古い街並みと、背を向けて並び立つ二人の女性。白いブラウスに淡いスカートの一人と、黒いコートに身を包んだもう一人の対照が、光と影、無垢と疑いの距離を静かに示す。煉瓦の建物の褐色、樹々を染める黄、足元に滲む青のにじみが、湿った路面の冷たさまで運んでくる。タイトルは余白を活かした縦組みで、「君」の一文字だけが朱に染まり、罪と人の名の重なりを暗示している。
著水生大海
装丁岡本歌織
装画丸紅茜
祥伝社 / 2021年
文学・評論