
アルツハイマーを抱えた80歳の父と、その息子。車中で歌い続けた声が世界へ届くまでを綴ったノンフィクション。表紙は淡いサーモンピンクを地に、横顔で口を開く父子の線画。白いシャツの父、ジーンズに赤い靴の息子、軽やかな筆致のなかに二人の輪郭が静かに立つ。毛筆を思わせる縦組みの題字が画面を貫き、下部の帯には実際の二人が車内で歌う写真が重なる。描かれた像と生身の像、記憶のなかの父と、いま響く声が、一枚のうえに並ぶ。

著Carr、Viola、川野、靖子
装丁アルビレオ+On Graphics
装画鈴木康士
ハーパーコリンズ・ジャパン / 2016年
文学・評論