
卒業式の朝、目覚めるとそこは見知らぬ部屋。引き戸の先には同じ部屋が無限に連なり、扉を開けるたび眠る少女がもう一人——。閉じた世界で繰り返される死と生を、淡々と書き継いだ連作長篇。表紙は校舎らしき淡い背景に制服姿の少女が三人、同じ歩幅で歩く写実的なイラスト。中央には鮮烈なマゼンタの縦長フレームと毛筆体のタイトルが重なり、像をくり抜くように立ち上がる。柔らかな日常と、それを断ち切る一本の枠線。少女たちが閉じ込められた世界の輪郭が、そのまま装丁になっている。
著乙一
装丁有馬トモユキ
装画loundraw
集英社 / 2021年
文学・評論