
誰にも記憶されない呪いを背負った女性アディ・ラルーが、三百年の時を彷徨い続ける物語。深い闇色の地に、薔薇色の多面体の宝石が浮かび、その中心で華奢なワンピース姿の少女がふわりと宙に身を預ける。周囲に散る星のような閃光と、結晶の硬質な面取りが鋭く呼応し、彼女の存在は誰にも触れられぬまま光の中に閉じ込められているかに見える。タイトルは白く細い明朝で結晶の外側に静かに添えられ、忘却と永遠のあわいを一枚の宝石へと結晶化させた装画である。
著AtwoodMargaret、畔柳和代
装丁ハヤカワ
装画ヒエロニムス+ボス
早川書房 / 2010年
文学・評論