
シェイクスピア「リア王」を現代のメディア王の物語として読み替えた長編小説。世界的なベストセラー作家がシェイクスピア作品をリテリングするシリーズの一冊で、慢心の果てに娘たちに裏切られる父親の姿が描かれる。表紙には、青と灰褐色の絵具を厚く重ねたような肖像画が大きく配され、髪や輪郭は嵐の雲のように溶け崩れながら、一点だけ見開かれた目が読者を見据える。和文タイトルの太い明朝、抑えた英文ロゴ、そして帯の黒い角ゴシックが、崩壊しつつある人物像の沈鬱さを際立たせている。

著綿矢りさ
装丁坂野公一
装画河井いづみ
集英社 / 2020年
文学・評論