
日常のなかでふと立ちのぼる違和感を、フェミニズムという大きな旗にくくる前にひとつずつ言葉にしていく一冊。仕事、家事、結婚、社会——名づけにくいモヤモヤを、自分の感覚に正直に見つめ直す思索の書である。表紙は黒い線だけで描かれた女性の半身像を中央に置き、口元から発される思考を蛍光イエローの吹き出しが受け止める構図。白地に黒と黄色だけという潔い三色設計が、ためらいながらも声を持ち始める瞬間の手触りを伝える。沈黙と発話のあいだに置かれた装丁である。

著Z李
装丁小口翔平
カバー写真グレート+ザ+歌舞伎町
扶桑社 / 2023年
文学・評論