
江戸後期の蔵前を舞台に、町に暮らす人々の片想いと巡り合わせを綴る連作時代小説。カバーは雨上がりらしき石畳の路地に番傘を差しかける女と縁台に腰かける女を描いた淡彩のイラストで、紅梅色の着物、暖簾の渦、紫陽花の青、軒先の濡れた光が柔らかく溶け合う。手書き風の太いタイトル文字を同系の赤で重ね、サブタイトルは右肩に縦の枠で添える。にじみを残した筆致と湿度のある色面が、人と人がふと交差する一瞬の温度をそのまま装丁に映している。

著RothfussPatrick、山形浩生、渡辺佐智江 ほか
装丁仁木順平
装画中田春彌
早川書房 / 2018年
文学・評論