
第一次世界大戦から戻った灯台守夫妻が、流れ着いた小舟の中の赤ん坊をめぐって人生を揺さぶられる長編小説。オーストラリア沖の孤島を舞台に、罪と赦し、家族の意味を静かに問う物語として知られる。表紙には夜と朝の境目に立つ灯台が大きく据えられ、群青から橙へとグラデーションする空、無数の星、地平線に滲む薄明が一枚の写真として収められている。塔の窓から漏れる暖色の灯が画面の中心で小さく、しかし確かに灯り、白く繊細な明朝体のタイトルがその光と呼応する。孤独な光源と広大な闇の対比が、物語の倫理的な重さをそのまま装丁に翻訳している。

著柳広司
装丁鈴木久美
装画森美夏
角川グループパブリッシング / 2011年
文学・評論