
星野智幸の自選作品集第II巻。代表作と単行本未収録作をあわせて編まれた一冊で、社会の閉塞を見据えながら、やわらかな思考を手放さない作家の現在地を示す。カバーは渋い金色の地に黒一色の細密なペン画を大きく配し、銀河や曼荼羅にも似た同心円状の渦を中央に据える。星屑のような点描と幾何学的な紋様が緻密に重なり、混沌と秩序が同じ円のなかで拮抗する。タイトルはセリフ体の小文字組で静かに置かれ、図像の磁力を妨げない。一篇ずつが寄り集まって新たな円を描き直す、その求心力を装丁が引き受けている。

著小佐野彈
装丁鈴木成一デザイン室
装画西川茂
集英社 / 2019年
文学・評論