
作家のスケッチワークを集成した作品集。日々の手の動きから生まれた線そのものを束ね、完成画ではなく描く行為の連なりを一冊にまとめている。白地のカバーには青一色で刷られた人物画が大胆に配され、こちらを射抜く視線、火炎のような髪、握りしめた拳までが緻密なペン線で立ち上がる。タイトル「SKETCH」の太い黒文字は左端で縦に裁ち落とされ、右側には「寺田克也」が明朝で静かに添えられて、奔放な線描と活字の硬質さが拮抗する。青と黒、絵と文字、衝動と設計が一枚の上で噛み合う構成だ。
著片岡翔
装丁セキネシンイチ制作室
装画浅野いにお
光文社 / 2022年
文学・評論