
長年マンガ編集の最前線を走ってきた男が、定年を機に再び現場へと踏み出す——ものづくりに取り憑かれた人々の機微を、抑えた筆致で描く一作。生成りのような淡いベージュを地に、画面右半分には水彩で柔らかく描かれた白文鳥の横顔が大きく置かれ、左下には細やかなペン線で重なり合う住宅と高層ビルの街並みが広がる。タイトルと著者名は明朝体で縦に静かに収まり、右上の「1」だけが切り抜き窓のように白抜きで配される。巨大な鳥のまなざしと小さな東京——スケールの落差が、この物語の視点そのものを示している。
著松本大洋
装丁セキネシンイチ制作室
小学館 / 2022年
コミック・ラノベ・BL