
かつて伝説の編集者と呼ばれた塩澤が、定年を機に再び漫画と向き合っていく物語の第二巻。漫画を作るという行為そのものへの愛着と、その周りに集う人々の機微を静かに描き出す。表紙はくすんだ生成り色を背景に、三つの林檎を大きく配したシンプルな構成。果実の艶や軸の繊細さまで写し取った写真と、和文タイトルの明朝、右上に白抜きで添えられた巻数の「2」が、装画とも装幀とも言えない独特の静けさをまとう。手のひらに収まる果実のように、ひとつひとつの物語をていねいに掬い上げる本作の佇まいが、表紙にそのまま現れている。
著片岡翔
装丁セキネシンイチ制作室
装画浅野いにお
光文社 / 2022年
文学・評論