
20世紀半ばのフロリダ、黒人少年たちを苛烈な暴力で蝕んだ実在の矯正院を題材に、二人の少年の友情と尊厳を描く長編。ピューリッツァー賞受賞作の邦訳である。生成りの地に鮮烈な赤の矩形を据え、その広大な余白の右下に、白シャツの少年二人が小さく寄り添って立つ。長く伸びた影だけが彼らの存在を地に縫いとめ、上部のセリフを排した骨太のロゴが圧の在処を示す。赤の沈黙と二つの後ろ姿——逃げ場のない場所で交わされた、声にならない連帯がそこに残っている。

著柴田勝家
装丁有馬トモユキ
装画與座巧
早川書房 / 2014年
文学・評論