
死後の世界が科学的に否定された近未来の南洋を舞台に、生体受像という記録技術と土着信仰が交差する長篇SF。黒地に細い白枠で画面を引き締め、白いワンピースの少女が前髪で目を隠して立つ。その足もとから下半身が走査線のような色の縞へと溶け、無数の細片へほどけていく。タイトルは白く角張った文字で縦に置かれ、英題と著者名は控えめに添う。個と情報、肉体と痕跡の境目が崩れていく主題を、ひとつの像が静かに画素へ還っていく構図で受け止めている。
著乙一
装丁有馬トモユキ
装画loundraw
集英社 / 2021年
文学・評論