
野村胡堂が「銭形平次」とは別の顔として遺した、怪奇・推理・幻想を横断する短篇集。秘密のサークルに集う語り手たちが、思い思いの奇譚を持ち寄る連作の体裁をとる。カバーは深い暗がりのなかに、襞襟の人物たちが書面を囲む古典絵画を額装の形で配し、その下に燭台と花を据えた静物を写した一葉。中央に明朝の白文字で書名を置き、額縁の上には著者名だけが静かに浮かぶ。語り部たちの密室めいた集いを、絵画と祭壇の重なりとして翻訳した装幀である。

著石田香織
装丁鈴木成一デザイン室
装画おぎわら朋弥
河出書房新社 / 2017年
文学・評論